神奈川県皮膚科医会
トップページ
神奈川県皮膚科医会のご紹介
皮膚病の話
病院・医院検索
例会・講演会
リンク集
会員のページ
法人会員リスト

皮膚病の話

■ しみと皮膚がん

平成21年度皮膚の日記念講演(平成21年11月3日)
聖マリアンナ医科大学皮膚科准教授 川上民裕先生

 “しみ”は、皮膚のメラニン色素が過剰となる状態で、メラニン色素を産生するのは皮膚のメラノサイト(色素細胞)です。紫外線を浴びると、メラノサイト(色素細胞)内でチロシナーゼと呼ばれる酵素の働きが活発になって、チロシンというアミノ酸を材料としてメラニン色素が作られます。人はメラニン色素を出して紫外線から皮膚を守っているのです。

  一般に“しみ”といわれるのは、皮膚科では、日光性(老人性)色素斑、肝斑、真皮メラノサイトーシスの3疾患が相当します。日光性(老人性)色素斑は、長年の日光曝露で生じ、顔面、手など、年齢と共に増えてきます。40歳で2人に1人、80歳でほぼ全員に日光性(老人性)色素斑は生じるため、大部分の“しみ”は、日光性(老人性)色素斑と考えてさしつかえありません。肝斑は、30-40歳代に妊娠、経口避妊薬をきっかけとして発症しますが、60歳を過ぎると自然に消えていきます。目の周りにはできないことが特徴です。肝斑はレーザー治療でよくなりません。これに対して、真皮メラノサイトーシスは、20-30歳代に発症し、加齢と共に濃くなってきます。遺伝性があり、目の周りにもできることが肝斑との違いです。この疾患にはレーザー治療が有効ですので、肝斑との鑑別が大切です。真皮メラノサイトーシスと肝斑の区別は、皮膚科専門医の診断が肝要ですので、神奈川県皮膚科医会等のネットにアクセスして、近隣の皮膚科専門医の診察を受けて下さい。

  “しみ”の治療では、日光性(老人性)色素斑と真皮メラノサイトーシスには、Qスイッチルビーレーザーを中心としたレーザー治療がきわめて有効です。しかし、照射後1週間前後の照射部位をガーゼ保護することになりますので、時間に余裕をもって治療を受けて下さい。また、照射時には、ゴムをはじくようなごく軽度の痛みを伴います。一方、肝斑では、むしろ色が濃くでてしまい、レーザーは不向きです。レーザーに次いで、塗る治療法も有効で、日光性(老人性)色素斑、肝斑、真皮メラノサイトーシスすべてに効果があります。チロシナーゼとチロシンの結合を抑える作用がある、ハイドロキノン、ルシノール、アルブチン、コウジ酸、油溶性甘草エキス、エラグ酸といった塗る薬が販売されています。色素沈着部位に1日2回塗布します。なお、ハイドロキノンは、購入に際して医師のサインが必要です。

 “しみ”の鑑別で注意したいのが、皮膚がんです。日光角化症(放置すると有棘細胞がんになります)、基底細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)などです。すべて紫外線によってがん細胞が生じるため、顔面や手背などの露光部に多く、高齢者ほど多く、“しみ”と間違われていることも少なくありません(悪性黒色腫は足のうらにもできます)。こうした誤りを防ぐためにも、早めに皮膚科専門医の診断をうける必要があります。最近は、ダーモスコピーという器具を使用して、詳しく調べることが可能です。

 “しみ”や皮膚がんをできなくするためには、その原因といえる紫外線から身を守る対策が重要です。紫外線には、殺菌作用やビタミンD合成、植物の光合成といったいいイメージもありますが、日焼け、皮膚の老化(しみ)、皮膚がんの発生が、現実的であるので、予防を励行すべきです。主婦の春の1日(ゴミ出し5分、洗濯物干し15分、子供と公園で遊ぶ30分、お隣さんと立ち話15分、買い物20分、洗濯物取り込み5分)は、真夏の炎天下の海岸で1時間過ごすのと同様の紫外線をあびることになります。また、紫外線の強さは、高度1000mで約10%増(登山で注意)、雪での反射光で80%増(スキーで注意)、水中でも95%、砂浜での反射光で20%増(海水浴で注意)と、色々なレジャーでも常に紫外線を浴びることになります。そこで、紫外線防止対策として、しっかりした生地の衣服を着る、帽子をかぶる、サングラスを利用する、日傘を使う、日陰を利用する、といった身近な対策のほかに、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤)を上手に使うことが肝要です。紫外線には波長の長さでUVA(320-400nm)、UVB(290-320nm)、UVC(290nm以下)の3つがあり、たいていはUVAとUVBが問題となります。日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤)には、その紫外線防止効果指標としてSPF (Sun Protection Factor)、PA (Protection grade of UVA)の表示がされていて、PAはUVA防御の強さ、SPFはUVB防御の強さを示しています。ただ、SPF、PAの高低にかかわらず、2-3時間ごとに塗りなおさなければその効果は維持できません。また、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤)には、ケミカル剤とノンケミカル剤があります。作用として、ケミカル剤は紫外線を吸収して、ノンケミカル剤は紫外線を反射して、皮膚を紫外線から守ります。日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤)には、塗り方があります。顔の場合は、朝の保湿の最後に (下地を使う場合は下地の後に)数箇所に分散して置き、顔の中心から外側に向かって、やさしく均一に塗りましょう。そして、紫外線の当たりやすい部分を中心に、もう一度、重ね塗りをしましょう。2-3時間おきに(特に外出先)塗りなおすことが必要で、その際はファンデーションタイプなどが使用しやすいと思います。

● 最新のお話
● バックナンバー

■ 皮膚科で使う薬の情報リンク


 

 
Copyright(C) 2002- Kanagawa Dermatologic Association All rights reserved.